転勤を拒否する人が増加している理由

僕が今日読んだ時事通信の記事に非常に納得した。それは、近年の労働環境において、「転勤がないこと」が就職する際の決め手として重視される要素の一つになっているという内容だった。

特に、就職活動中の学生にとって、会社選びの条件に「転勤がないこと」を挙げる人の割合が約5割に達しているという調査結果が紹介されていた。このデータを目にして、僕自身ももし今転職するならば、同じ条件を求めるだろうと感じた。

過去の経験から学んだこと

このブログで何度か触れているが、僕は以前の会社で望まない転勤を経験した。その結果、13年間を福岡で過ごすことになった。福岡での暮らし自体は悪くなかった。物価が安く、食事も美味しかったし、天神や中洲といった繁華街には地下鉄で30分程度で行けた。また、市街地に位置する福岡空港の利便性は抜群で、アジアへの旅行も非常に楽だった。

それでも、最終的には親の介護という理由もあり、実家のある神奈川に戻ってきた。ただそれ以上に、やはり神奈川での暮らしを望んでいたのだと思う。福岡では僕の趣味である映画や音楽鑑賞に不自由が生じることが多かった。例えば、IMAXレーザーGTの設備がある映画館は東京・池袋にしかなく、クリストファー・ノーラン監督の作品を本来の映像美で楽しむことができなかった。また、佐野元春をはじめとするミュージシャンのライブも東京でしか開催されないことが多く、遠征には多額の費用がかかった。

家族への影響と時代の変化

僕は独身なので直接の影響は少ないが、家族がいる人にとって転勤はさらに深刻な問題だ。子どもの教育環境や配偶者の仕事、家族全体の生活リズムが大きく乱される。かつては終身雇用制度が確立されており、年齢を重ねるにつれて高給を得られる見込みがあったため、こうした犠牲を受け入れる価値があった。しかし、現在では終身雇用制度が崩壊し、給与は成果次第となっている。転勤を受け入れたからといって給与が増える保証はなく、むしろ家族の崩壊を招くリスクが高まるだけだ。

こうした背景から、転勤という制度自体が時代遅れになりつつあると僕は感じる。実際、今の会社は基本的に転勤を配慮し、僕が神奈川に戻る際も在宅勤務を前提として許可してくれた。しかし、前の会社では「転勤なし」という選択肢があったものの、その場合は給与が転勤を受け入れる社員の85%しか支払われず、事業再編が起きれば結局転勤を余儀なくされる仕組みだった。僕自身も、事業再編を理由に転勤を受け入れざるを得なかった経験があるため、前の会社の制度は実質的には信用できるものではなかった。

ネット時代の働き方

今の時代、インターネットとPCがあればどこでも仕事ができる環境が整いつつある。そのため、転勤という制度はますます時代にそぐわなくなってきている。社員が自分の住みたい地域に住み、そこで働くという選択肢をもっと増やすべきだと僕は思う。

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