下川裕治著「週末ちょっとディープな台湾旅」朝日文庫

ここ数年続いている下川裕治の「週末」シリーズの最新作が本書「週末ちょっとディープな台湾旅」である。下川裕治が台湾について触れるのは、これが初めてではない。すでに「週末台湾でちょっと一息」という本を刊行している。なので、今作では、「週末台湾でちょっと一息」では触れられなかった、マニアックな内容が事細かに記載されている。それは食の話であったり、ビールの話であったり、蒋介石の話であったり、ビーフンの話であったり、とかなり突っ込んだ内容になっている。台湾を数度訪れた人ならば、納得してしまう内容になっているのではないかと思われる。ところで、この本の最終章は、台湾の話ではない。沖縄についての話になっている。下川裕治はかつてはアジアの旅に出たり、アジアから帰る際に、必ず沖縄を経由していたが、ここ最近は沖縄を経由しなくなっていることに触れ、沖縄がアジアの都市という立ち位置から、東京に近い都市という立ち位置に変わっていることに言及している。これは、以前レビューを書いた仲村清司著の「消えゆく沖縄」と連動しているような気がする。一応、この章はLCCが台湾と沖縄をつなぐというところでオチを持っているが、あえてこの本で沖縄を取り上げたのは、意図してのことのような気がする。台湾の話だけではないところが、この本の魅力である。

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