配信サービスのNetflixが独自に制作をした映画で、アカデミー賞に作品賞や監督賞、そして外国語映画賞など10部門でノミネートされている台風の目、的存在の映画が、この「ROMA/ローマ」である。物語は1970年代のメキシコ。ある一家に雇われている家政婦クレオと、その雇い主との交流を描いた静かな物語と言える。物語は、クレオの視点で描かれ、政治的には不安定なメキシコで、ある一家の崩壊とクレオの身に起こった事件を淡々を描くことで、クレオと雇い主との絆が強くなっていく、という展開になっている。その物語は、男性の力不足を感じさせるものであり、女子供たちの強さがその描き方から浮かび上がってくる、という要素が描かれている。映画は全編モノクロで描かれ、また、音楽がほとんど流れず、環境音やセリフを5.1chのサラウンドで大胆に描写するという、これまでの映画にない特徴を持った作品であると言える。4K配信版ではDOLBY ATMOSのようだが、DOLBY DIGITAL PLUS 5.1chのサラウンドでも、こういうドラマとは思えないサウンドデザインが映画を効果的に印象付けている。また、ワンカットでキャラクターの動きを描写するシーンが多用されていることや、犬のフンや飛行機といった物語に直接関係ないシーンが多々描写され、ストーリーに緩急をつける要素になっている。アカデミー賞では受賞がどうなるか、まだわからないが、かなりできのいい映画であると思う。
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