アジアを中心に旅行を続ける作家の下川裕治が、タイを中心にした外こもりの日本人をテーマにした一冊が、この「新版「生きづらい日本人」を捨てる」という本である。日本では引きこもりが大きな社会問題になっているが、外こもりという言葉には馴染みがないと思う。引きこもりが部屋から一歩も出ずに社会参画もしない人たちのことを言うのに対し、外こもりはタイを中心に海外で何もせず過ごし、貯金が底をつくと日本に帰ってきて海外で生活するのに必要なお金のために働く人たちのことである。あくまで海外で何もせずに暮らすための仕事なので、日本での仕事は短期になる。そういった外こもりの様々な事例を挙げて、「日本人の生きづらさとはなんなのか」といったテーマに迫っているのが、この本である。新版とあるので、当然旧版もあり、「日本を降りる若者たち」、「「生き場」を探す日本人」、「「生きづらい日本人」を捨てる」と言う三冊の本から抜粋し、再編集を施したものになっている。僕自身、アジアの各国を旅行してきて、日本の生きづらさを感じてはいるので、この本のような事例は目から鱗である。ただ、外こもりがいい見本になるかと言うと、それは違うような気はする。その辺の兼ね合いが今後の課題になると思う。
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