レビューの詳細は、SHADOW(4K UHD Blu-ray)/SHADOW/影武者/輸入盤DVDで観た映画のレビューを参照のこと。「HERO」や「LOVERS」などで独特な映像表現を映し出しているチャン・イーモウの新たなる武侠映画が、この「SHADOW/影武者」である。映画は輸入盤なので、北京語の音声に英語字幕というかなり難しい環境での試聴になったが、大雑把にストーリーは把握できている。強国の従属する小国ペイの司令官が、強国のヤン将軍に一対一の対決を申し込むという無謀さから始まって、強国との関係悪化を恐れるペイ国の国王の立場や、ペイ国の司令官が実は影武者であったという事実などが語られ、司令官の影武者とヤン将軍との決闘に向けて、各々が自分の立場を守るため、個別に動き出すという展開である。この映画を特徴づけているのは、色彩がカラーでありながら、衣装から小道具、大道具、風景に至るまで全て白黒のみで固められていて、まるで水墨画のような色彩を放っているところにある。また、雨が絶えず降り続いていて、それも映像表現を確立するのに効果を発揮しているところがある。映像は4K/HDR10で収録されていて、映像がモノクロっぽい再現になっているにも関わらず、魅力的な精彩感とコントラストを放っている。また、音響はDOLBY ATMOS MIXされていて、登場人物のセリフのエコーから傘の刃の飛翔するシーン、雨のシーンなど至るところでイマーシヴなサラウンドを構成しているところがある。日本では4K UHD Blu-rayは出ていないし、配信も4Kではないので、HD止まりの画質になってしまうが、必見の映画だといえる。
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