あらすじ
オルテガスの弟は、乗船しているエンタープライズ内部で撮影した動画と、連邦が機密情報扱いから解除した動画を使って、ドキュメンタリーを作った。そのドキュメンタリーは、「宇宙艦隊とは何か」という命題が含まれていた。
オルテガスの弟は、連邦の宇宙艦隊は軍隊なのではないか、という疑問を抱いたままドキュメンタリーを撮影していた。実際、連邦のエンタープライズに対する指揮命令には不満があっても従わざるを得ない部分も多々あったし、機密情報の名の元に民間人が触れられない情報も多数存在していた。それでも、エンタープライズのクルーはそれを受け入れていた。
そんな中、戦争状態にある非惑星連邦の星、ルタニに救助するため、エンタープライズはジカルという生物を牽引し、ルタニに運ぶ任務を受けた。ジカルは成長して惑星から宇宙に飛び出したのだが、暴力的な行動により接近したルタニの船を攻撃してしまった。エンタープライズもダメージを受け、精神融合を図ったスポックも負傷した。
連邦の上層部がなぜ、ジカルをルタニに運ぶよう指示するのかはわからなかったが、パイクたちは不平も言わずに任務をこなしていた。しかし、オルテガスの弟の撮影するカメラは機密情報に触れるから、という理由でブリッジから追い出される。
スポックやウフーラ、チャペルは再びジカルに接近し、スポックが精神融合を試みることになる。そこにルタニの戦艦が現れるのだが、スポックが試みた精神融合によって、ジカルは破壊衝動に襲われていて、自らの死を願っていたことがわかる。
スポックの精神融合によってジカルの望みを知ったパイクたちは、連邦の上層部に掛け合い、ジカルの望みを叶えようとする。
感想
今回のエピソードは異色作である。物語全編がオルテガスの弟がまとめたドキュメンタリーという設定で、物語が進むからである。もちろん、弟のまとめたドキュメンタリーの中には、いつものスター・トレックのように難題を解決するパイクやスポックの姿があるのだが、ドキュメンタリー自体が、「宇宙艦隊とは何か」というスター・トレック自体の存在に対する問いかけになっているので、大変ユニークである。
「宇宙大作戦」の時代から、スター・トレックにおける宇宙艦隊の定義がファンの間で議論されてきた。あるファンは宇宙艦隊は軍隊だ、という説を取り、別のファンは宇宙艦隊は軍隊ではない、という説を取ってきた。「スター・トレックII:カーンの逆襲」あたりから、宇宙艦隊が軍隊である、説が強くなってきているが、僕自身は宇宙艦隊は自身を守る武器は持っているものの、軍隊ではないと思っている。
そうしたファンの声に耳を傾け、一つの見解としてエピソードを作り上げてしまったのが、今回の「宇宙艦隊とは何か」であり、見ているうちに納得してしまうところがある。
エピソードが凝っているのは、ドキュメンタリーの設定なので、いつものシネマスコープサイズの映像ではなく、ワイドテレビの画面いっぱいに映像が広がっていることと、やたらとカメラを通じて映像を撮っている部分を強調していること、オープニングがなく、エンドクレジットにまとめてしまったことなど、面白い点はいくつもある。
こういうエピソードが作れるうちは、スター・トレックも安泰だなと感じるところである。
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