レビューの詳細は、『野火(1959)』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|戦後14年目に描かれた飢餓と極限の戦場【SDR / PCM】を参照のこと。
今年はご承知のように戦後80年を経過する節目の年である。第二次安倍政権の時から徐々に日本は右傾化を進めていき、2025年の今年は極右政党の参政党が大躍進を果たしてしまうという結果をもたらしている。日本が急速に右翼化しつつある中、戦後80年を記念して、戦争の悲劇を伝える目的で映画館では過去の戦争映画のリバイバル上映が溢れている。
8月3日に「この世界の片隅に」を109シネマズ川崎に見に行った。それだけでは飽き足らず、気になっていた大岡昇平の小説を映画化した塚本晋也監督の「野火(2014)」はU-NEXTの配信版を先週日曜日に鑑賞した。
そして、火曜日にアメリカのAmazonで注文していた4K UHD Blu-rayの「野火(1959)」が家に届いた。この「野火(1959)」もミニシアターで現在公開中ではあるが、4K UHD Blu-ray版の「野火(1959)」は、THE CRITERION COLLECTIONからリリースされているので、信頼の高画質と音響効果が期待できた。
終戦記念日の今日、改めて反戦の思いを抱くつもりで、4K UHD Blu-rayの「野火(1959)」を鑑賞した。塚本晋也監督版の「野火(2014)」がカラーだったのに対し、市川崑監督版の「野火(1959)」はモノクロ映像だし、サウンドもモノラル音声であるが、「野火(2014)」版に比べると静かな分、心を打つものがあった。
「野火(1959)」版だと、映画タイトルの「野火」の意味が作中で語られるので、物語に直結するものを感じた。「野火(2014)」版では「野火」の意味に触れていたかはわからない。「野火(2014)」版はセリフがとにかく聞き取りづらく、登場人物が喋っている会話を聞き取れないまま物語が進んでしまう問題を孕んでいるので、ある意味分かりづらい作品だった。「野火(1959)」版も多少セリフが聞き取りづらい部分もあるが、全般的に聞き取りやすく、物語に没入できる要素が揃っている。
物語のラストの違いも印象深い。「野火(9159)」の方がインパクトある終わり方だった。全般的に「野火(1959)」版の方が完成度はいいと思う。
今日で終戦記念日の終わりを告げるのだが、まだ劇場では上映しているところがあるので、映画ファンで「戦争とは何だったのか?」を考えたい人には「野火(1959)」をお勧めしたい。
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