旅行作家の下川裕治が共同通信から依頼を受けて旅をし、書いたのがこの「5万4千円でアジア大横断」である。日本を起点にして、アジアを横断するアジアハイウェーをバスで乗り継いで行こうとするかなり無謀な企画を受けてしまった、下川裕治氏の七転八倒の旅を描いている。バスの旅とはいうが、アジアの観光などは全くと言っていいほどない。とにかくバスに乗ってターミナルに着くと、次の目的地を探してバスに乗る、ということを繰り返すがために、ホテルに宿泊することすらあまりないという過酷な旅を続けていくので、かなり大変な展開になっている。そのハイウェーの状態も国によって違い、バスが通っていない国もあれば、きちんと整備された高速道路がある国もあり、また治安の面で不安の残る国もある。そういった国を経由しながら、アジアとひとくくりで語られるが、実情がいろいろ異なる国々を経由して東京からトルコまで移動をしていくのである。アジアに興味のある人にしたら、かなり面白い本ではないかと思う。
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