大阪生まれのウチナーンチュ2世で、数々の沖縄関連書籍を執筆してきた仲村清司氏と、社会学者である宮台真司氏が対談をした内容をまとめた書籍が、この「沖縄の生きる道」である。内容は結構硬い。読んでいて頭の中に話が入っていかないことがしばしば発生する内容である。しかしながら、社会学という見地で、沖縄が今抱える問題をどう解決していくかの道しるべを、語っているところは大きいと思う。そしてそれは沖縄だけの問題ではなく、日本本土にも当てはまる道しるべでもある。沖縄と言えば、今は基地問題で揺れ動いている。先日も沖縄県知事選で辺野古への基地移設反対を掲げる翁長氏が当選したが、この県知事選の前の出版にもかかわらず、翁長氏の出馬に関して語っているのは、かなり核心に迫っていると思う。そして沖縄の生きる道が、日本の地方と同じ轍を踏まないことが重要であるというメッセージである事も大きな点である。逆を言えば、今沖縄は日本の地方と同じく大型のショッピングセンターなどをどんどん作り、次第に沖縄らしさを失っているということでもある。特に北谷や那覇新都心などが該当するだろう。そういう沖縄らしさを失うと同時に、結局沖縄自体が日本政府に対して、振興策を要求する構図になっていて、基地問題も金で片付くと日本の官僚に思われているという問題もそれを加速させていると言える。それを解決するにはどうしたらいいか、それをこの本では提示しているが、現実問題としてかなり難しいのではないか、と思う。しかしそれを行わなければ、沖縄が自立することもないという話も納得はできる。
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