福井晴敏「ラプラスの亡霊」機動戦士ガンダムUC 5

大河小説である機動戦士ガンダムUCも中盤の第5巻。いよいよラプラスの箱の謎が明らかになるかと思えば、まだまだ明らかにはされない。しかしその箱と関係の深い第1巻冒頭で述べられていた地球連邦政府の官邸であるラプラスのマーセナス首相の演説が繰り返し語られる。西暦から別れを告げ宇宙世紀に新たなる第1歩を歩もうとする人類。そしてそれを阻止しようとするテロリストと、その後の地球連邦の有り姿。そういったものが執拗に語られ、物語に厚みが出てきていると思う。また本巻では2人の名脇役キャラが戦死するという悲劇もあり、主人公バナージの精神に影響を及ぼしていると思う。それにしてもユニコーンガンダムのラプラスの箱を解く鍵というのはいったい最後は何処まで明かされるのか、興味が湧いてくる。そして物語最後で地球圏に突入するユニコーンガンダムとバナージの運命は。リディの知ってしまったらプラスの箱の秘密とは。ミネバの心の行方は。結構謎を含んだまま第6巻に進んでいくように思う。

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