岡本かの子「蔦の門」青空文庫

タイトルは「蔦の門」となっているが、これは物語のきっかけに過ぎず、実際のところは著者の女中である「まき」とお茶屋の娘「ひろ子」の心の交流を描いた作品になっている。この二人はどちらも孤独を心に抱えていて、それを互いが互いを支えあっているという仕組みである。最初はあまりいい印象を持っていない両名ではあるが、時間が経つにつれ二人が互いを必要としているさまが素晴らしい描写と共に描かれている。物語としては短編に属すると言えるが、読後感がさわやかな一編である。

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