奥間勝也著「骨を掘る男 わたしたちと戦争、そして沖縄」大和書房を読んでの感想

2024年に公開されたドキュメンタリー映画「骨を掘る男」の監督、撮影、出演を行なっていた奥間勝也さんが書籍の形でドキュメンタリー映画と同じテーマで、かつ映画制作の舞台裏や戦争についての見解なども踏まえた読み物として成立させたのが、この「骨を掘る男 わたしたちと戦争、そして沖縄」である。

内容的には映画の制作舞台裏の内容であるので、BD-Rという形でAmazonのみで販売されている「骨を掘る男」を購入し、鑑賞してから読むのがいいと思うが、映画を見ないでも著者である奥間勝也さんの言いたいことはわかるので、この本を読むといいかと思う。

本のテーマも映画と同じく「会ったことのない者の死を悼むことはできるのか?」であるのだが、本の場合、映画の時間的制約から離れているので、より深くこのテーマについて語られていると感じた。そして、それに対する回答も映画よりも明確になっていると感じている。戦争についての考え方にもなづける部分があった。多くの人はどこかで戦争について学んでいるはずだが、それに対して大して関心も払っていないのだという。ただ、何らかの引っ掛かりのようなものは心の中に残っていて、何かのきっかけで学び直す杭のようなものとして存在しているので、今現在、戦争に対して関心がなくても、いずれ関心を持った時に過去の学びによる杭を手掛かりにまた学び直せばいいという考えは、素晴らしいと感じた。

映画でカメラが追い続けた具志堅高松さんの姿について、この本ではどういう経緯で奥間勝也さんがカメラを回すようになったのかという説明や、具志堅高松さんがハンガーストライキを起こしてからの顛末など、映画を見ただけでは分からない部分も詳細に説明されているので、読み応えがある。

奥間勝也さんの書かれた文章自体も印象的で、考えさせられるものがあったが、本の最後に掲載されている永井玲衣さんとの対談がかなり深い。実は僕が先日参加申し込みをした「平和の礎名前読み上げ」にも繋がっていくのだが、自分の体を使った情報発信という部分が重要という話には、納得できるものがあった。自分が戦争を体験していないから、何も発信できない、ではなく、例えば東日本大震災や能登震災を体験した時の感覚を発信していけば、戦争自体を体験していなくても体験したような感覚を持つことはできる、という説明に納得できるものがあった。

本自体がかなり分厚いのだが、世界中に戦争が広がっていく様子を見ている僕としては、この本におけるある種の反戦の内容には同意できるし、この本がもっと多くの人に読まれるといいなと思っている。

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