大人気アニメ「機動戦士ガンダム」の小説版がこの「機動戦士ガンダムI」。アニメ「機動戦士ガンダム」の総監督である富野由悠季自身による著作物である。だが、アニメ版のノベライズという訳ではない。設定、ストーリーが全く異なっているのである。アニメ版ではサイド7の住人で戦争に巻き込まれる設定だったアムロたちパイロットは、最初から軍人として連邦のモビルスーツのパイロットの訓練を受けているし、連邦のガンダムとジオンのザクの力関係もアニメ版ほど差はない。モビルスーツがガンダムとガンキャノン、ザク、エルメスしか出てこないのもストーリー的にすっきりする。ストーリーは地上編は全然なく、すべて宇宙空間での話になっている。登場人物はアニメ版に準拠しているが、立ち位置が違うので、キャラの印象が大きく異なる。本来この作品はこの1冊のみで完結するためか、結構早足の展開になっている。ただ、読みづらいこの小説では全く異なるガンダムのストーリーが楽しめるのは、ファンにとってはたまらないだろう。人気を受けて、続刊が出て、新たなストーリーと、アニメ版とは異なるキャラの最後が描かれるのは、なかなか面白い。II巻、III巻の展開も楽しみである。
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