映画「ドラゴン怒りの鉄拳」(輸入盤4K UHD Blu-ray UK)

レビューの詳細は、FIST OF FURY(4K UHD Blu-ray UK)|ドラゴン怒りの鉄拳|輸入盤DVDで観た映画のレビューを参照のこと。

「BRUCE LEE at GOLEN HARVEST」の4K UHD Blu-ray BOXセットの中の一つである「ドラゴン怒りの鉄拳」は、ブルース・リーの映画の中でも「燃えよドラゴン」を除いて人気の高い作品ではあるが、今回、4Kの解像度でかつオリジナルの標準中国語で鑑賞して、主人公チェンが戦う相手になる日本人格闘家の悪役ぶりには、いかに中国の間で戦前の日本が悪どいことをしてきて嫌われていたかを詳細に描写していて、見ていてちょっと複雑な気分になってくる。もちろん映画なので、中国人主人公チェンに肩入れして、悪役日本人がやられると喝采を飛ばすのであるが、その日本人の同胞である自分のことを考えると、そう単純にチェンに肩入れしていいものか、ちょっと考えざるを得ないのである。

また、チェンも所属する道場の教えである「武術は戦いのためではなく、心と体を鍛錬するためのもの」を破り、師匠の復讐のために武術を戦いのために使ってしまうところにもチェンの悲劇性を増しているように感じられる。チェンが復讐の念を我慢していたならば、もう少し話は変わったかもしれないという思いはどこか映画の中に存在している。

ブルース・リーの映画の中で唯一と言ってもいいぐらい、この映画ではノラ・ミャオ扮するユアンとのラブシーンがあるが、ユアンとの愛が壊れても復讐に走るチェンの心の決意が悲劇だなと感じる部分もある。

もちろんアクション映画なので、チェンが戦うシーンは素晴らしい出来である。日本人道場の吉田やペトロフ、鈴木との戦いぶりは見ていてアドレナリンを放出するし、興奮するところではある。ヌンチャクを使い、標準中国語音声ではこの映画が初めての怪鳥音が聞こえ、「ブルース・リーの映画なんだな」と実感することはできる。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されていて、1971年の映画にしてはかなり良質な映像を提供している。ただ、マスターフィルムの状態にもよるのだが、一部シーンで映像の質がかなり落ちている。そのシーンだけは惜しい、と思ってしまう。

音声はモノラル音声なのだが、レストアしているため結構綺麗に聞こえる。ノイズもなく、割とワイドレンジなサウンドである。

FIST OF FURY 4K UHD Blu-rayジャケット

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