森永卓郎著「書いてはいけない 日本経済墜落の真相」三五館シンシャ

この本を購入して読んでみようと思ったのは、恐らくYahoo!ニュースで、この本の一部が公開されて、それを読んだことに起因していると思う。その記事では、日本航空123便の墜落事件の真相が概略で書かれたいたように思う。その記事を読んで、僕自身が驚くとともに、その内容から読むべき本かな、という思いを強くした。今年に入って読んだ三上智恵著の「戦雲 要塞化する沖縄、島々の記録」や松尾潔著の「おれの歌を止めるな ジャニーズ問題とエンターテインメントの未来」、ドキュメンタリー映画の「沖縄狂想曲」や「戦雲」と同種の匂いを嗅ぎ取ったのである。

森永卓郎氏が癌で余命わずかという話も聞いてはいたが、そのためにこの本を読むというアクションにはならなかった。あくまで、ここ1年ぐらいマスメディアが真実を報道しない、という姿勢に対しての疑念や不満に対するカウンターパートとしてこの本を購入し、読むきっかけになったというのが実態である。

本書は、森永卓郎氏が余命わずかということもあり、本音で3つのパートで彼の視点で事件の真相を語っているのだが、その筋書きは当たっているように思う。「ジャニーズの性加害」はXや松尾潔氏の著作等で詳しくわかっているつもりなので、この本から得られる新事実はなかったが、逆に僕がこれまで知り得た話を裏付ける部分が多く、納得できるところである。

「財務省のカルト的財政緊縮主義」や「日本航空123便の墜落事件」は、僕にとってはかなり衝撃的だった。この辺はまさにマスメディアの報じる内容しか知り得ない立場にあったので、森永卓郎氏が述べる真相は驚愕の内容だったし、それが納得できる部分だったからである。特に「日本航空123便の墜落事件」は当時学生だった僕にはこの本で書かれているような真相に気づくことなく、マスメディアの垂れ流す情報のみを鵜呑みしてきた部分もあって、自分の迂闊さにがっかりするところもある。

これら3つのテーマを踏まえて、「日本経済墜落の真相」という最後の章を読むと、なぜ、今、日本が貧乏になって市民が悲鳴を上げているのかが、ストンと落ちる内容になっていて、辻褄が合うのである。いや、正確には、まだ書ききれていない何かあるだろう、という更なる疑念をも持たされざるを得ない内容になっている。

この本自体は評判のようで、三五館シンシャという全く知らない出版社から出版された本にも関わらず、10刷まで行っているということは、それなりに説得力を持った内容として評価されているのではないかと思う。僕自身も最近抱えているマスメディアに対する疑念や不満に対するある種の回答を解き明かしてくれたようで、スッキリする部分はある。ただ、他の書籍や映画でもそうだが、これらメディアに触れて、僕自身がどうアクションしたらいいのかがよくわからないのは、いまだに変わらない。どこかのデモ活動に参加するという手はあるが、地方である福岡ではその手の活動自体が行われることはほとんどない。やはり、首都圏に住まいを移さないとそういう活動に参加することすら難しいような気がしている。今は、神奈川に引っ越しをする手続きを進めているので、いずれはそういう活動に参画する可能性もあるが、現時点では無理という事実は残り、もどかしい思いはある。

それでも、この本の内容を信じるにしろ、信じないにしろ、疑念を持つことは重要だとは思うので、気になる方は一度手に取って読んでいただくことはお勧めできるかと思う。ページ数も多くはないので、楽に読み終えられるだろう。

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