普段、NetflixやDisney+、Paramount+でドラマを見る場合、エピソードごとにあらすじとその感想を書いていた。しかし、この「ターミネーター 0」では、それはしなかった。
エピソードごとのあらすじと感想を書かなかったのは、8話あるエピソードのうちの最初の方では、どう感想を書いたらいいかが頭の中でまとまらなかったからである。「ターミネーター」といえば、ジェームズ・キャメロン監督とアーノルド・シュワルツェネッガーの出世作であり、その印象が強すぎて、シリーズ化された「ターミネーター3」以降は、作品の出来が悪いことも手伝って、いつも見るたびに「見て損をした」と感じたものであるが、この「ターミネーター 0」も序盤はなんかキャメロン監督の設定した世界観と矛盾が生じているし、制作はハリウッドのSKYDANCEなのだが、実際のアニメを作っているのが日本のPRODUCTION I.G.なので、まんま日本のアニメそのもの、といった感じで、どうもしっくりとこなかったのである。
それでも、途中でやめるほどつまらないかというと、「ターミネーター」というカテゴリーを取り払えばそれなりに面白いかな、と思って、毎日、在宅勤務中の昼食休憩時間に1話ずつ鑑賞していった次第である。1話が30分にも満たないので、昼食休憩時間ででも鑑賞可能というのが、決め手になった。
物語が進むにつれて、序盤で感じていた矛盾点が解消されるようになり、この作品のターミネーターの抹殺目標であるマルコム・リーと、彼がスカイネットによる人類抹殺を止めるために作り出したココロというコンピューターとの人類の存在意義についての問答、マルコムのお手伝いさんであり、マルコムの子供の相手にもなるミサキという女性、ターミネーターの野望を阻止するために未来から送り込まれたエイコという女性戦士とが有機的に絡み合い始め、マルコムの子供達、特にケンタが物語のキーを握る設定には驚かされ、ミサキやマルコム、エイコの正体等が明らかになっていくにつれ、やっぱり「ターミネーター」の世界観を有した出来のいいアニメだと思うようになっていった。
このアニメで登場するターミネーターにはあまり魅力は感じない部分も多いのだが、最終回8話で意外な設定になっていて、最終的には「ターミネーター2」に通じるものがある展開に、面白さを感じた次第である。
キャメロン監督の作った「ターミネーター」の世界観の外側にこの「ターミネーター 0」は存在しているようなもので、一種の外伝的ストーリーだと思うと、「ターミネーター」シリーズの中ではキャメロン監督以外の作品としては出来がいいのではないかと、最終的には思っている。
映像はHD/DOLBY VISIONで配信されていて、アニメなので解像度はHDでも問題はないと思っているが、色彩表現がDOLBY VISIONなので、とても色彩が鮮やかで魅力的である。
音声は5.1chサラウンドなのだが、ハリウッドの映画と違って、結構極端に音の配置を視聴者の周囲にしているので、効果は抜群である。登場人物のセリフがセンターだけでなく、シーンによって、左右のサラウンドチャンネルやバックに定位するのでびっくりするし、低音の響きも十分にある。
総じて、最初は期待はしていなかったものの、最後は満足できる内容にまとまったという点で、この「ターミネーター 0」は高い評価を与えうるものであると言える。
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