人類補完計画は続いていたが、物語として語るには時間がなかった。そのために碇シンジのケースのみを紹介していた。シンジは自分が嫌いで、臆病で、そのために誰にも好かれていないと感じていた。しかし、周囲の人たちはシンジに自分の存在を認めるように次第に仕向けていった。シンジは自由を得るがそのために不安に感じ、不自由を与えられてほっとする。また、エヴァに乗らない自分という選択肢もあることに気づかされる。そうした経験の中、シンジは自ら自分が現実世界で存在していてもいいのではと認識する。その認識を持った時、周囲の人たちは祝福する。そしてシンジは感謝の言葉を述べた。
最終話は完全にストーリーは放棄していて、碇シンジの物語冒頭から語られていた他人の顔色をうかがって生きていく処世術の内幕をばらされ、シンジを苦しめていた他人と自分の境界線をはっきりさせ、そして自分の存在そのものを認めることが大切だということに気づかせるように仕向けている。映像的にも止め画や線画、アナザーワールドでのおたく的展開のアニメパートなど、様々な情報を駆使して、シンジの心の解放を描いている。
エヴァを全編通してみると、結局のところは自分自身をもっと大切にしよう、自分を認めようという意図があるように見える。これは監督である庵野秀明自身の心の叫びとして取ってもいいのではないかと思う。
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